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松江家庭裁判所 昭和54年(家)91号 審判 1979年2月21日

申立人 社会福祉法人○○○○学園

右代表者代表理事 梶村卓雄

主文

被相続人亡山本カヨ子の別紙一目録記載の相続財産(うち、預金についてはこれに対する引渡しまでの経過利息全部を含む)を申立人に分与する。

理由

1  本件申立の趣旨及び実情は、別紙二記載のとおりである。

2  被相続人の死亡により、同人の相続財産管理人として梶村卓雄が選任され、相続債権者及び受遺者への請求権申出の催告、次いで相続人捜索の公告がなされたが、期限までにいずれも該当者の申出がなかつたことは、昭和五二年(家)第八一二号、昭和五三年(家)第二六八号各事件記録によつて認められる。

3  次に、本件記録によれば、昭和二二年一月申立外財団法人○○○○学園はその業務である孤児救済事業を母子福祉事業に変更したが昭和三五年四月申立人は「この社会福祉法人は援護育成又は更生の措を要する者等に対し、その独立心をそこなうことなく正常な社会人として生活することができるように援助することを目的として左の社会福祉事業を行う。(左記)第一種社会福祉事業母子寮○○○○学園の設置経営」を目的として設立され、前記申立外財団法人の施設一切の寄附を受け、その業務を承継し、主務官庁の認可を受けたこと、申立人は、その事業及び経営につき社会福祉事業法及び関係法規の規制を受け公明かつ適正に行う社会福祉法人であること被相続人に別紙目録記載の相続財産があり、これを申立人に分与すれば、申立人は前記設立目的に従つて使用するものであること、被相続人は、前記申立外財団法人が昭和二二年に母子福祉事業を開設すると同時に寮母兼保母となり、申立人設立後は申立人の寮母兼保母として、収容母子と施設内で起居を共にしその更生に尽力してきた者であり、同人の相続財産を申立人に分与し前記目的に使用することは同人の意思に合致するものであること、被相続人は昭和五二年五月七日国立療養所○○病院に入院し同年七月一二日死亡したのであるが、その間申立人は、同人の希望により所属保母を派遣し看護に当らせていたこと、同人の葬儀等も申立人において施行したこと、以上の事実が認められ、これによれば申立人と被相続人との間には特別縁故関係があつたものというべく、別紙一目録記載の相続財産を申立人に分与するのが相当であると思料する、よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 干場義秋)

別紙<省略>

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